理事長挨拶
京都の“ものづくり文化”と“産業技術”を基盤から支える京都市産業技術研究所(産技研)は、2014(平成26)年4月1日に地方独立行政法人へ移行し、自立した公設試験研究機関として新たな活動を開始してから9年が経過しました。この間、京都地域企業を支援し地域産業の発展を期して4年ごとに達成すべき『中期目標』の指示を京都市から受け、産技研は目標達成に向けた『中期計画』と各年度の『年度計画』を策定して、質の高い業務と規律ある財務の運営に努めてまいりました。
人間の成立は、「人間がつくり出したもの=文化」で定義され、現世人類が自ら道具を製作した約220万年前に遡ると考えられています。道具の製作こそは文化の最も原初的な形態であり、狩猟採集社会[Society 1.0]形成につながる大きな第一歩でした。これを起点に高度で洗練された石器や土器をつくりはじめると、農耕社会[Society 2.0]が形成され、都市の誕生を見ました。都市では分業が進んで“ものづくり”の専門職や、自然現象の真理に迫る哲学者も現れ、後年その成果から科学革命を経て産業革命が起こり、多様な産業の興隆を促す工業社会[Society 3.0]の形成に至りました。さらに情報社会[Society 4.0]を経て、現在迎えつつある近未来社会[Society 5.0]は、現実空間(フィジカル空間)と仮想空間(サイバー空間)が高度に融合したシステムを活用する社会になると提唱されています。
人間と道具・技術の歴史を顧みるとき、Society 1.0からSociety 5.0は時代とともに順次重畳してゆき、各社会の要素を成す技術群が相互に連携しつつ新たな総合へ向かう構図が窺われます。それこそは、千年に亘る都市機能の持続を通じて、“ものづくり文化”の優れた伝統を継承し、新しい時代の感性豊かな先進産業技術を創造してきた京都が築きあげてきた知恵の源泉でもあります。
現在取組中の『第3期中期目標』では、「持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向け、経済の発展と社会課題の解決を両立する持続可能な地域産業の振興、新たな価値を創出するイノベーションに貢献」することが求められています。産技研は、伝統と先進を基調に新時代を展望しつつ、京都地域企業が蓄積してきた多彩な技術のさらなる進化と継承を支援するとともに、時代を画する新技術の創出に邁進してまいります。
地方独立行政法人
京都市産業技術研究所
理事長
西本 清一(にしもと せいいち)
Sei-ichi Nishimoto
研究所概要
名称 | 地方独立行政法人 京都市産業技術研究所 |
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英語名称 | KYOTO MUNICIPAL INSTITUTE OF INDUSTRIAL TECHNOLOGY AND CULTURE |
所在地 | 〒600-8815 京都市下京区中堂寺粟田町91 京都リサーチパーク9号館南棟 |
設立 | 大正5(1916)年10月 |
理事 | 理事長 西本 清一 副理事長 馬屋原 宏 理事(研究マネジメント統括) 吉田 佳一 理事・研究室長 中村 俊博 理事・プロジェクト推進室長 山本 佳宏 |
アクセス
〒600-8815
京都市下京区中堂寺粟田町91 京都リサーチパーク9号館南棟
- バス
「市立病院前」 東へ徒歩約5分
「京都リサーチパーク前」 西へ徒歩約5分
「西大路五条」 東へ徒歩約10分 - 電車
JR嵯峨野線「丹波口」駅 西へ徒歩約10分
- 車
駐車場(有料)あり
- その他
バイク・自転車駐輪場(無料)あり
KRP地区内駐車場MAP
地下駐車場から直接入ることはできません。
9号館(北棟)・10号館にお回りください。入り口
京都市産業技術研究所のある9号館の東面には、入口が3つあります。北側の五条通に近い方から、スターバックス・9号館北棟・産技研(9号館南棟)の入口です。3つ目の自動ドアからお入りください。
沿革
- 繊旧京都市産業技術研究所繊維技術センター(京都市染織試験場)
- 工旧京都市産業技術研究所工業技術センター(京都市工業試験場)
- 共両センター共通
- 1916年
(大正5年10月)繊 西陣織物同業組合から、有姿のまま西陣織物染織試験場施設(上京区烏丸通上立売上ル相国寺門前町)の寄付を受け、京都市染織試験場として発足
- 1920年
(大正9年3月)工 - 化学工業を振興するため、技術上の諮問指導に当たる研究機関として京都市工業研究所を設立
- 京都市立工業学校(上京区烏丸通上立売上ル相国寺門前町)の施設で、業務を開始
- 1923年
(大正12年8月)工 新庁舎(市内東九条山王町)へ移転
- 1926年
(大正15年4月)工 京都市陶磁器講習所(明治29年8月に業務を開始した京都市陶磁器試験所を、大正8年の国立陶磁器試験所の設置に伴い、大正9年に改称)を工業研究所に移管統合し、同講習所跡地(東山区東大路五条上ル梅林町)に工業研究所窯業部を設置
- 1926年
(大正15年9月)工 金属部を設置し、金属工芸に関する指導業務を開始
- 1927年
(昭和2年4月)工 図案係を設置し、工芸品の意匠に関する指導業務を開始
- 1936年
(昭和11年)工 酒造業界の巡回指導開始
- 1949年
(昭和24年)繊 西陣織物技能者養成開始
- 1954年
(昭和29年)繊 染織物の巡回指導開始
- 1954年
(昭和29年5月)工 窯業部が旧国立陶磁器試験所跡(伏見区深草正覚町14番地)に設置された京都市工芸指導所へ移転
- 1955年
(昭和30年4月)工 工業研究所全体を京都市工芸指導所に移管合併し、京都市工芸指導所と改称
- 1956年
(昭和31年)繊 染織図案技能者養成講習会開催
- 1961年
(昭和36年)繊 技術相談室を開設
- 1962年
(昭和37年)工 酵母の分譲開始
- 1964年
(昭和39年)繊 中小企業染織技術者研修(本科)開講
- 1966年
(昭和41年)繊 中小企業染織技術者研修(専攻科)開講
- 1966年
(昭和41年11月)工 工芸指導所を京都市工業試験場に改称
- 1966年
(昭和41年12月)工 新庁舎(南区西九条南田町1-2)へ移転
- 1967年
(昭和42年)繊 本友禅(手描)実技講習会開講
- 1968年
(昭和43年4月)繊 西陣織物技術者養成研修会開講
- 1979年
(昭和54年)工 めっき技術巡回指導開始
- 1989年
(平成元年10月)工 下京区中堂寺南町の「京都リサーチパーク」へ移転
- 2003年
(平成15年4月)共 京都市産業技術研究所を設置。これに伴い、工業試験場と染織試験場を各々同研究所工業技術センターと同研究所繊維技術センターに改称
- 2006年
(平成18年4月)共 「京都市産業技術研究所整備基本構想」を策定し、両センターの立地的統合を「京都リサーチパーク」内で進めることとした
- 2010年
(平成22年9月)共 新庁舎(下京区中堂寺粟田町91番地)へ移転
- 2010年
(平成22年10月) 新京都市産業技術研究所開所
- 2014年
(平成26年4月) 地方独立行政法人へ移行(地方独立行政法人京都市産業技術研究所の設立)
- 2016年
(平成28年10月) 設立100周年記念事業として式典開催