コト
近代日本画で使用されていた「岩絵具」のナゾに科学が迫る
京都市立芸術大学と産技研とは、京都で育まれた芸術とものづくり技術の継承・発展を目指して包括連携協定を締結しており、現在、近代日本画に関する共同研究を推進しています。近代日本画の絵具には、伝統的に使用されてきた岩絵具(主に鉱石を砕いてつくられた粒子状の日本画絵具)とは異なる新たな岩絵具や、西洋で開発された合成無機顔料が使用されていたようですが、科学的には十分に明らかになっていません。そこで、明治から昭和初期にかけて活動した日本画家の木島櫻谷(このしまおうこく)が遺した絵具を最新の機器で分析することにより、近代日本画における絵具の変遷を明らかにするとともに、修理・保存技術の向上に寄与することを目指しています。

共同研究先からのコメント:今回の産技研との共同研究では、櫻谷が遺した岩絵具について、元素組成や結晶構造の解析を行うとともに、電子顕微鏡を併用して粒子を一粒ずつ観察・分析し、化学組成や微細構造を詳細に調べました。その結果、赤色や橙色の絵具には、宝石珊瑚を原料とする明るい赤色の岩絵具や、鉛クロム酸塩・石英・鉛ガラス相を含む赤色の人造岩絵具など、近代以降に導入されたと考えられる絵具が含まれている可能性が示されました。岩絵具の粒子には、原料や製法の情報が残されています。今後も連携して解析を進め、近代日本画を支えた材料と技術の解明に取り組んでいきたいと考えています。(京都市立芸術大学美術学部 教授 高林 弘実 氏)。
特別展「生誕150年 木島櫻谷」が2027年10月2日(土)~12月12日(日)に京都市京セラ美術館で開催されます。
https://okoku150.jp