
日本の伝統工芸を愛する国内外の人々を結び付ける
JapanCraft21 創設理事 バイメル スティーブエン 氏
産技研ユーザーズコミュニティ(産技研UC)では、ものづくり企業を支えるサポーター(特別会員:大学や公的支援機関)に参画いただくことで、それぞれの機関が得意とする支援を組み合わせ、産技研UC会員企業の発展につなげています。今回、産技研UCのサポーターの一つ、特定非営利活動法人JapanCraft21(JC21)の取組に焦点をあて、創設理事のバイメル スティーブエン 氏のインタビュー記事を掲載します。
伝統工芸の衰退を食い止めるJapanCraft21の取組
― 日本の伝統工芸の現状の課題について教えてください。
一番の課題は、伝統工芸に携わる人の著しい減少です。40年前には約30万人いた職人が、現在は5万人、あと数年で2万人程になると予想しています。背景には需要の減少があります。かつて伝統工芸を支えていた、神事や仏事の簡素化、茶道や華道といった文化的な基盤に関わる人の減少、そして若い人を指導するメンター的な人も減りました。また、職人と志望者をつなぐ全国的なマッチングシステムがないこと、職人の手間に比して値段が安く、後継者が入りにくいことも深刻な課題です。
― JC21のコンテスト※では、どのような人材を「クラフトリーダー」として選出していますか。
自分の分野を21世紀に再生するための明確なビジョンとエネルギーを持っている人です。日本の強みである「用の美(実用的な美しさ)」を重視しています。高い技術や経験があるだけでなく、現代に合った「デザインセンス」があり、将来的に事業として成立させるアイデアを持っていることを重視しています。
※JC21が主催する日本伝統工芸再生コンテストでは、最優秀賞受賞者にはロニー賞が授与され、プロジェクトの資金として500万円が提供される。また、ロニー賞受賞者を含むコンテストのファイナリストにはクラフトリーダー賞が授与され、それぞれのプロジェクトを実現するためのサポートが提供される。
産技研をご利用いただいている堤卓也氏(漆工)や松﨑陸氏(京藍染)もロニー賞を受賞されています。
― クラフトリーダー賞受賞者への具体的な支援内容を教えてください。
「自分で頑張って進んでいける人」を選んでいるため、手取り足取りの支援ではなく、クラフトリーダーのグループに入っていただき、本人からの要望に沿った対応をしています。例えば、お弟子さんを雇う資金が課題の場合には1年間の奨学金を出したり、販路開拓のサポートをしたりします。また、研修会や有識者を招いた講演会を行い、クラフトリーダー同士のコラボレーションも促進しています。
― 海外の視点から見て、日本の伝統工芸の「市場価値」をどう捉えていますか。
日本には伝統工芸品が多いと知られていますが、漆と一般的な塗料の違いなど伝統工芸の詳しいことは理解されていません。そのため、質の良し悪しの区別がつかず、安い方が選ばれがちです。私たちはオンラインセミナー等で海外向けに啓蒙活動を行っています。その価値がきちんと伝われば、市場は大きく広がるはずです。
― 京都のものづくり文化を担う方々へメッセージをお願いします。
展示会やイベント、産技研のような支援機関を積極的に利用して、外に出てネットワークを作ってほしいです。他の職人や異業種との交流が海外での大きな仕事に繋がった例もあります。どれほどAIが発展しても「心が入った手仕事」が求められる伝統工芸の仕事はなくなりません。誇りを持って活動を広げていただきたいです。
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