地方独立行政法人 京都市産業技術研究所
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金属分野(ご利用者向け)

金属材料を中心にその部品、製品の破損等の原因究明、それに伴う製造工程の改善、品質管理、及び新材料・新製品開発に関する技術的支援を行っています。その際、必要とされる試験分析などの検討から、実際に得られたデータに基づいたディスカッション(技術相談)を行うまで、技術的課題を解決するための総合的なサポートを行っています。また、ORT等の技術者研修や研究会共催の技術セミナーなども実施しています。

業務内容

(1)研究・技術分野

近年、「不良品を減らしたい」「今まで廃棄していたものを有効活用したい」「製品を長寿命化したい」「従来の製造プロセスを効率化したい」「有害元素を減らしたい」などの「持続可能な環境調和型社会の実現」を見据えた研究開発が注目されており、取り組むべき長期的な目標と考えています。金属粉末焼結技術、金属ナノ材料、高耐熱接合技術、難溶解試料の分析前処理技術及びその分析技術の高度化などの『材料開発及びプロセス技術』に関する研究開発を実施しています。

(2)技術相談・指導業務

金属系材料を中心とした素材、素形材及び製品ならびに電子関連部品などについて、各フェーズに応じて、技術相談、指導を行っています。

材料メーカー
  • 機械加工、プレス成形、熱処理、粉末冶金、鋳造、鍛造などの素形材技術
  • 製造技術、製品、材料の信頼性技術・品質管理技術
  • 材料開発・材料選定などの材料設計技術
  • 試験・測定・分析技術の向上・確立
加工・組立
  • 部品・製品の強度に関する設計技術
  • 製造技術、製品の信頼性技術・品質管理技術
  • 製品の安全性、環境負荷低減に関わる技術
  • 機械製品、電子部品等の信頼性の向上に関わる技術
  • 試験・測定・分析技術の向上・確立
ユーザー
  • 機械製品、電子機器等の信頼性向上に関わる技術
  • 製造技術、製品、材料の信頼性技術・品質管理技術
  • 製造技術、製品の信頼性技術・品質管理技術

具体的な内容としては、

  • 接合に関する技術
  • 金属ナノ材料に関する技術
  • 材料強度・応力解析技術金属組織などによる信頼性技術
  • 腐食や摩耗の評価技術
  • 電子線マイクロアナライザなどの微小解析による素材評価技術・破損解析技術
  • GD-OESによる機能性薄膜の表面分析・評価技術
  • 疲労強度設計からみた金属材料の素材・素形材ならびに製品の評価技術
  • 新素材開発のための金属粉末焼結技術
  • 分析技術における分析試料の採取法、各種前処理法、各種測定法、測定結果の評価法
  • 固体系分析技術を用いた製造関連技術指導
  • 欧州環境規制に対応する鉛フリーはんだ等の分析技術の指導
  • 高温高圧水熱反応技術分野、環境関連技術分野などの分析応用技術等
  • 固体中ガス分析技術を用いた製造関連技術指導
  • 発電機用インバータ回路基板の耐振動性への強化対策に関わる指導
  • 赤外線サーモグラフィによる床暖房カットモデル使った温度分布測定

などにより製品開発のためのデータ提供などクレーム対策・技術工程の改善から新製品開発の提案まで総合的技術指導を行っています。

技術支援企業の業種としては、金属製品製造業、機械器具製造業、化学工業、電子・電気機器製造業、化学工業が中心ですが、繊維製造業、食品製造業、建設業、窯業と広範囲の業種からの技術相談も多く承っています。

(3)依頼試験・分析

金属系材料を中心とした素材、素形材及び製品などについて、化学的側面、物性的側面、耐久性などの観点から試験・分析を行っています。

化学的側面
  • グロー放電発光分析法による「深さ分布測定」
  • 金属系の化学成分を評価する「鉄鋼分析」、「非鉄分析」
  • 非金属系の化学成分を評価する「窯業材料分析」、「無機分析」
  • 金属組織観察、破面解析、電子線マイクロアナライザーによる「微小部観察」
  • 微小部X線回折による薄膜・微小部構造解析
物理的側面
  • 機械的性質を中心とした材料物性、製品物性について評価する「金属材料試験」
  • X線CT装置による内部構造を解析する三次元非破壊測定を行う「精密測定」
  • 微小部X線回折による薄膜・微小部構造解析
耐久性
  • 環境(疲労、振動)による耐久性試験
  • 雰囲気(薬品など)による耐食性試験

これらの試験、分析を通じて、金属系材料を中心とした素材、素形材及び製品についての新技術、新製品開発、製造技術・工程の改善、品質管理、商取引の証明、クレーム処理など、企業の目的に応じた技術指導を行い、市内を中心とした企業の技術力の向上に繋げています。

(4)人材育成・研修業務

ORT事業、機器活用セミナー、大学卒業研究生の受入れ

主な取扱設備機器

  • 電子線マイクロアナライザー
  • グロー放電発光分析装置
  • X線CT装置
  • 金属疲労試験機
  • 金属万能試験機
  • X線回折装置
  • 蛍光X線分析装置
  • ICP発光分析装置
  • ICP質量分析装置
  • イオンクロマトグラフ
  • 高周波遠心誘導鋳造装置
  • 酸素・窒素・水素分析装置
  • 赤外線サーモグラフィ
  • 振動試験機

主な研究シーズ

  • 金属ナノ材料のカスタムメイド

    金属は、ナノオーダーのサイズになるとバルクでは見られない特性を示すようになります。このような金属ナノ材料の実用化にあたっては、組成、大きさ、形状などを目的に合わせて作りこむことが求められます。我々は、電気化学を基盤として、液相還元法による金属ナノ材料の合成および形態制御技術の確立に取り組んでいます。
  • セラミックスの優れた耐熱性をいかすための接合法
     ~ 接合用フィラーの新材料・新機能デザイン ~

    我々が有する材料開発技術の応用例として、セラミックス接合用のフィラー(間に挟み込んで融かして固めることで接合する材料)の開発に取り組んでいます。接合温度より高い温度でも使用できる(再び融けることがない)ような耐熱性の高いセラミックス接合体を作製するため、接合時には比較的低い温度で融け、接合後には高い温度でも融けなくなるという、新材料・新機能をデザインしました。その核心は、フィラーに含まれる合金元素の一部を接合中に蒸発させることで、融点を上昇させる点にあります。このような特異な接合メカニズムの詳細を明らかにし、接合体の高温強度特性などを向上させるための研究を進めています。
  • 水素吸蔵合金を利用したGD-OESによる深さ方向への水素分析

    水素関連工業製品の安全性、信頼性を確保するため、迅速かつ高精度な表面から深さ方向への水素分析が求められています。そこで、水素分析用標準試料の開発、及びGD-OES(グロー放電発光分析装置)による定量的な水素の評価技術に関する検討を行っています。
  • 難溶解試料の分析前処理技術及びその分析技術の高度化

    材料開発等の際に不可欠な材料中の成分含有量の分析には、現在、ICP発光分析法(高周波誘導結合プラズマ(ICP)を光源とする発光分光分析法)などが用いられていますが、酸などによる前処理が不可欠で、水溶液化が難しい場合や前処理中のコンタミ(異物混入)などへの注意が課題となっています。そこで、レーザーなどによるアブレーション技術(固体試料にレーザ光を照射しそのエネルギーで試料を蒸発・微粒子化する技術)を応用し、前処理を必要としない固体試料の直接ICP発光分析法に関して検討しています。
  • 振動試験機を利用したバイク用ハンドルの防振対策の検討

    二輪車用ハンドルは走行中に、路面、及びエンジンからの振動が伝わるため、長時間の走行においては、関節炎や神経への障害が懸念されています。そのため、部品メーカーから振動を低減させる商品が売られています。しかし、部品装着によるコストアップ、ハンドルの形状の制限などの課題点があります。そこで現在、パイプの端から安価なシリコンゴムを挿入し荷重を加えることで、反共振現象などの効果により防振対策の検討を行っています。

担当研究会

  • 京都先端技術研究会

担当者

  • 南 秀明
    分析技術
    分析前処理技術
    高温高圧水熱反応技術
  • 丸岡 智樹
    金属材料技術
    水素評価技術
    合金設計技術
  • 塩見 昌平
    金属材料技術
    ナノ粒子作製技術
  • 山梨 眞生
    分析技術
  • 小濱 和之
    金属材料技術
    接合技術
    電子顕微鏡によ
    る微細組織観察