Fe-Ni-SiC複合電析膜の作製に関する基礎的検討
- 表面処理
- 研究論文
担当者 |
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概要 |
高精度・高信頼性電鋳製品への応用を目的として,マトリックスに低熱膨張特性を示す電析Fe-Ni合金を,分散粒子にSiCをそれぞれ用いて複合めっきを行い,得られた複合電析膜の熱膨張特性,構造及び組織について評価した結果,以下のことが判明した。Fe-40mass%Ni-4mass%SiC複合電析膜(SiC体積分率約10vol%)がクラックフリー(厚さ約150mm)で得られ,マトリックスFe-Ni合金の組成はFe-42mass%Niを呈した。得られたFe-Ni-SiC複合電析膜は,SiCを含まないFe-42mass%Ni合金電析膜と同様に,300~400℃の加熱により相変態を伴う再結晶に起因する収縮が生じた。複合電析膜における600℃までの加熱後,室温まで冷却した際の収縮量は,Fe-42mass%Ni合金電析膜とほぼ同等であった。複合電析膜の線膨張係数(30~50℃)は,めっきしたままでは8.5×10-6/℃を示し,400℃以上の熱処理後は約6×10-6/℃を呈し,溶製Fe-42mass%Ni合金の線膨張係数(5.9×10-6/℃)と同等の値を示した。熱処理後はfcc単相の等軸粒子にSiC粒子が分散した組織を呈した。SiC粒子は部分的に凝集した状態で複合電析膜中に取り込まれており,その結果,SiC粒子の分散は粗密混在していた。今後,SiCの分散状態をより均一化するための界面活性剤の選定,及び,効果的な攪拌条件の設定等,めっき条件の最適化が必要である。 |
研究期間 |
平成26年4月~平成27年3月 |
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キーワード
- Fe-Ni合金めっき
- SiC
- インバー電鋳
- 低熱膨張
- 複合めっき