インバー型Fe-Ni合金電析膜の機械的性質に及ぼす合金組成の影響
- 研究報告
- 表面処理
担当者 |
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概要 |
インバー型Fe-36~40mass%Ni 合金電析膜の機械的性質に及ぼす熱処理及び合金組成の影響を検討した結果,以下の ことが判明した。 1. インバー型Fe-36~40mass%Ni 合金電析膜は,熱処理前では最大引張強度(UTS)692~730MPa,伸び(δ)9~15% を示し,全ての合金組成の電析膜においても同程度の機械的特性値を有した。 2. 300~400℃熱処理後,全ての合金組成の電析膜についてもUTS が僅かに増大するとともにδ の低下が生じた。Ni含有率36 及び38mass% の電析膜は,300℃及び400℃の全ての熱処理温度においても同程度の機械的特性値を示した。一方,Ni 含有率40mass% の電析膜は,300℃の熱処理後温度で,強度が極大値を示し,400℃の熱処理により強度の僅かな低下が確認された。 3. 500℃以上の熱処理後,全ての合金組成の電析膜においても強度の低下が確認され,さらに溶製合金と同等の線膨張係数αに調整するための600℃の熱処理後は,再結晶による軟化が生じ,UTS の低下に伴いδ が増大しUTS =479~551MPa,δ= 23~30% を呈し,Ni 含有率36mass% のFe-Ni 合金電析膜が最も低い強度を示した。 4. S を含有するNi 電析膜は,400℃以上の熱処理により延性の著しい低下(S 脆化)が生じるが,今回検討したインバー型Fe-Ni 合金電析膜は,いずれの熱処理温度においても延性破壊を示し脆化が生じなかった。インバー型Fe-Ni合金電析膜が熱処理後S 脆化が生じない原因は,熱処理後の電析膜中のS が粒界に偏析するのではなく,粒状のFe-Ni-S 化合物として分散しているためであると推察される。 |
研究期間 |
平成25年4月~平成26年3月 |
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キーワード
- Fe-Ni合金めっき
- インバー電鋳
- 低熱膨張
- 低熱膨張めっき