インバー合金電析膜の機械的性質に及ぼす熱処理の影響
- 研究報告
- 表面処理
担当者 |
|
---|---|
概要 |
インバー合金電析膜の線膨張係数αを安定化させるための熱処理が,電析膜の機械的性質に及ぼす影響を検討した結果,以下のことが判明した。1.めっきしたままのインバー合金電析膜は,最大引張強度(UTS)=692MPa,伸び(δ)=13%を示し,300~400℃熱処理後,僅かにUTSが増大するとともにδの低下が生じた。さらに,500℃以上の熱処理後は再結品による軟化が生じ,UTSの低下に伴いδが増大した。2.インバー合金電析膜のαを溶製インバー合金と同等のαに調整するための熱処理後は,UTS=479MPa,δ=30%の機械的特性値を有し,溶製インバー合金の機械的性質と同等の値を有することが判明した。3.硫黄(S)を含有するNi電析膜は,400℃以上の熱処理により延性の著しい低下(硫黄脆化)が生じるが,インバー合金電析膜は,今回検討したいずれの熱処理温度においても,延性破壊を示し硫黄脆化は生じなかった。インバー合金電析膜が熱処理後硫黄脆化が生じない原因は,熱処理後の電析膜中のSが粒界に偏析するのではなく粒状のFe-Ni-S化合物として分散しているためであると推察される。 |
研究期間 |
(記載なし) |
資料ダウンロード
キーワード
- Fe-Ni合金めっき
- インバー電鋳
- 低熱膨張
- 低熱膨張めっき