Si-Mg複合粉末フィラーへのAl添加によるSiC接合強度の向上
- 研究抄録
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担当者 |
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概要 |
Al を添加したSi-Mg 複合粉末フィラーを用い、SiC セラミックスを真空中・1100℃・10分保持で接合した。フィラー中のSi とMg の組成比を固定し、Al 組成(XAl)を0~10 at. %と変化させた。基本的な接合メカニズムはこれまでに報告した2元系のSi-Mg 複合粉末フィラーによるAl2O3/Al2O3接合及びSi3N4/Si3N4接合の場合と同様である。すなわち、Si とMg の複合化によりSi の融点を低減させ、接合部に生成したSi-Mg 液相中から蒸気圧が高いMg を蒸発により除去し、等温凝固によりSi 基の接合層を形成させるものである。しかしながら、Al2O3及びSi3N4はMg と反応するが、SiCはMg と反応しないという材料上の差異がある。前者の場合にはMg の蒸発とセラミックスとの反応が同時に起こることにより強固な接合層が形成されるが、後者の場合にはMg の蒸発のみが起こるため、Mg の蒸発を特に促進させる工夫が必要であると示唆された。具体的には、SiC/SiC 接合の場合には、XAl = 0 at.% のとき、Mg の蒸発が抑制され、多量のMgが接合部に残留し、Siに加えてMg2SiとMgOからなる脆い接合層が形成された。この原因は、接合部に生成したSi-Mg 液相のうち、試料の外周部に近い箇所でMg 組成が減少しやすいため先に固相Si が等温凝固する結果、中央部の液相が外周部近傍の固相Siに取り囲まれて孤立し、その残存液相中のMgが試料外部に到達できないためと考察した。一方、フィラーにAl を添加すると、Si-Mg-Al 液相中からのMg の蒸発が促進された。XAl が適切な範囲内にある場合、緻密なSi 基の接合層が形成され、SiC/SiC 接合体の室温引張強度は増大した。このような微細組織解析と状態図に基づいた考察から、Al を添加した3元系フィラーにより系の熱力学的自由度が1増加し、外周部での固相形成速度が低減したため、中央部での液相の孤立が抑制され、Mg蒸発が促進されたと結論付けた。 |
原題 |
Improved mechanical properties of SiC/SiC brazed joints viaadded Al in Si‒ Mg composite fillers |
発行年度 |
2024年度発行 |