熱分解GC/MSによる鳥浜貝塚出土木胎漆器の分析
- 塗装・漆工
- 研究抄録
担当者 |
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概要 |
近年、不溶不融の高分子材料の有力な分析ツールとして、熱分解ガスクロマトグラフィー/質量分析法(Py-GC/MS)が盛んに用いられている。本手法により、高分子材料や添加剤等の材質を同定することができ、例えば、文化財や出土品の古い塗膜を精度よく分析することが可能である。不溶不融の高分子材料に対するPy-GC/MS 以外の分析手法としては、顕微鏡観察やフーリエ変換赤外分光法(FT-IR)が用いられており、それぞれの分析手法を組み合わせることで、材料について詳細な情報を得ることが可能である。これまで鳥浜貝塚出土木胎漆器において、顕微鏡観察及びFT-IR による分析が行われてきた。しかしPy-GC/MS による分析は未だ報告されていない。そこで、本研究では、鳥浜貝塚出土木胎漆器39点のPy-GC/MS の測定を行ったところ、漆及びアスファルト由来のピークが多数検出された。漆の検出はこれまでの報告を支持する結果であり、アスファルトの検出は、鳥浜貝塚出土木胎漆器における新たな発見であった。また、測定した鳥浜貝塚出土木胎漆器のアスファルトのピークは、今回測定した3つの標準サンプル(秋田県産、山形県産、新潟県産)と比較して、地理的に最も近い新潟県産の傾向と類似していた。 |
原題 |
Analysis of wooden lacquerwares from Torihama shell midden by pyrolysis-gas chromatography/mass spectrometry(Py-GC/MS) |
発行年度 |
2024年度発行 |