金属の耐摩耗性を向上したい
分析による金属の状態把握から品質向上へ
DATA
- 成果
- 品質改善
- 業種
- 金属製品製造業
- 対応分野
- 表面処理 / 金属
- 支援方法
- 試験・分析
- 企業・組織
- 金属製品製造業A社
- ポイント
-
- チタン合金に施した表面処理が想定どおりできているか窒素の侵入深さを知るため、グロー放電発光分光分析(GD-OES)を使用した分析を実施
課題
チタン合金の耐摩耗性を向上するために、表面をより硬くする処理として窒素雰囲気で熱処理を行いました。処理後、チタン合金の表面が銀白色から金色に変わったので窒素がチタン合金に侵入し、窒化チタンが形成されたと考えています。
しかし色目の変化による推測であり、窒化チタンが形成されているかはわからないので、まずは窒素が侵入しているかどうかについて詳細な分析をお願いします。
産技研の支援内容
表面から深さ方向への元素分布分析が可能なグロー放電発光分光分析(GD-OES)での分析を提案しました。この装置は、窒素、チタンのほか、酸素、水素など複数の元素の深さ方向への濃度分布を同時に知ることができます。
分析の結果、表面から約1μmの深さまで窒素が存在しており、窒素が侵入していることがわかりました。
結果を基に依頼者と打ち合わせを行ったところ、想定よりも窒素の侵入深さは浅いことがわかりました。より深く窒素を侵入させるために、①処理時間を長くする、②処理温度を高くするという方法を提案しました。
後日、X線回折を用いて窒化チタンが形成されていることが確認できました。継続的な伴奏支援を実施しています。
結果
チタン合金の表面をより硬くすることができ、品質向上に目途が立ちました。
処理条件に対する窒素の侵入具合を知ることができたので、研究開発が大幅に進展しました。