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文化首都を支える強い経済の復活~松井市長の産業政策

2024.06.28
INTERVIEW

産技研は、京都市が設置する公設試験研究機関として京都経済の原動力である地域企業の持続的発展に向けた技術支援を通して、地域産業の発展に貢献すべく取り組んでおります。今回の特集では、2月に誕生した松井市政による、突き抜ける魅力のある文化首都・京都を支える強い経済の復活に向けた産業政策の方向性、さらには、公設試験研究機関としての産技研への期待について松井市長に伺いました。

(写真左 西本 清一 理事長、右 松井 孝治 京都市長 産技研7階コミュニケーションスペース「Plat」にて)

松井 孝治 京都市長

京都市における産業政策について

突き抜ける「世界都市京都」をつくる ──。

これは、私が京都市長として掲げた市政運営の信条です。

市長に就任させていただいた後も、市政のあらゆる現場に足を運び、市民や事業者の皆様の率直な思いに耳を傾けてきました。その中で改めて実感するのは、京都のすばらしさ、同時に、直面する課題の深刻さです。

京都は、人口の約1割を占める15万人の学生が活躍する「大学のまち・学生のまち」。また、豊かな文化芸術や伝統産業を源泉に、数々のハイテク企業や先端研究を生み出してきた「ものづくりのまち」でもあります。

一方で、全国的な人口減少や少子高齢化は京都も例外ではありません。西陣織、京友禅、京焼・清水焼など世界の宝とも言うべき京都の伝統産業をはじめ、京都経済を支える地域企業の担い手不足は深刻な状態です。とりわけ、京都で学んだ学生の多くが卒業後、京都から転出している現状は残念でなりません。

本市としても、個性と特色ある36もの大学を有し、人材の宝庫、「知」の集積など京都の強みを生かすとともに、都市計画の見直しに連動した企業立地や居住空間の創出、若者の起業支援や新産業の創出、企業誘致などで、日本中、世界中から人や企業を呼び込んでまいりたい。そして、若者・子育て世帯に選んでいただける、京都で働くと、暮らすとワクワクする。そんなまちづくりを推進しているところです。

5月24日松井市長の産技研視察の様子 産技研地下2階製織実験室にて

さて、創業100年を超える老舗企業の割合が全国トップの京都。進取の気風による「伝統と革新」はもとより、先人の理念である“先義後利”や“不易流行”をはじめ、「公を自ら担い、共助・互助でまちをつくる」という京都の「町衆」の伝統と心意気が今も息づいています。近年では、コミュニティビジネスやソーシャルビジネスなど、新たな手法で社会課題の解決に取り組む担い手も多数生まれるなど、その思いが受け継がれていることを心強く思います。

「古きをいつくしみ、新しき世を切り拓く」。本市としても先人から受け継いできた伝統を大切に、多才な人々が集い、文化を支える強い経済を復活。「新しい公共」の発想で、異なる世代が交じり合い、すべての人に『居場所』と『出番』がある京都の実現に、しっかりと取り組んでまいります。変わらぬ御支援と御協力をお願い申し上げます。

産技研7階バイオ実験室にて

産技研への期待

千年を超えて都であった京都は、国内外から優れた人材と原材料が集まり、「ほんまもん」の技と心で製品を作る「ものづくり」のまちです。産業技術研究所は、そんな京都のものづくりの基盤を支える要として、新素材の研究開発をはじめ、技術相談や技術者の育成支援など、地域企業の皆様の成長を支える大切な役割を果たしてきました。技術や価値観が目まぐるしく変化する今、企業等の技術力、開発力の強化やベンチャー、スタートアップ支援など、更なるイノベーションの創出が求められます。これからも京都経済の発展に向けて、より一層の御支援と御協力をお願いいたします。

伝統産業と先進産業の基盤を成す
京都の “ものづくり”は文化

地方独立行政法人 京都市産業技術研究所
西本 清一 理事長

京都市産業技術研究所は、「京都のものづくり文化の優れた伝統を継承し、新しい時代の感性豊かな先進産業を創造する」ことを目的に、旧染織試験場と旧工業試験場を統合して設置され(2003年)、そのルーツから数えて今年で108年目を迎えました。その間、ベンチャー企業からスタートアップし、今やグローバル・カンパニーに成長した大企業のほか、多様な地域企業の研究や技術の開発を支援する公設試験研究機関として活動してきました。

5月24日、松井孝治市長が産技研の視察に来所されました。冒頭の説明時に、産技研の英語表記(Kyoto Municipal Institute of Industrial Technology and Culture)にある“Culture”の単語に注目された松井市長から、世界有数の歴史都市=京都が創造し、成熟させてきた数々の文化基盤に対する思いを熱っぽく語っていただきました。さらに各技術分野の現場視察中にも、たくさんのご質問やご意見をいただき、予定時間を30分超過するほどでした。

市長から激励された若い研究員たちをはじめ所員一同、京都市が掲げる“突き抜ける「世界都市京都」をつくる”ために、地域企業への支援の質を一層向上させる決意を新たにしました。

産技研7階京都バイオ計測センターにて

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