ヒト
COLUMN〜捨てられてしまう貝殻が、光り輝く工芸品になる〜
高級食材であるアワビや、真珠を育てる蝶貝。その貝殻を使って、美しい漆器やアクセサリーをつくりだす技術があります。
虹色に輝く日本の伝統工芸、螺鈿(らでん)です。
貝がなぜ光り輝くのか……実は貝にとっては特に意味はなく、強度や滑らかさを進化させた結果だそうです。不思議ですね。
螺鈿の土台になる漆(うるし)は木の樹液ですが、漆もまた、現在の技術ではまだ解明できていない部分を持つ面白い素材です。
これまで螺鈿には、マットな質感の貝や、湖や川に生息する貝は使われませんでした。
研究所の漆工コースで研修生に技術を伝えていく中で、「これまでの伝統的な技術・技法を大事にしながら、新しいことに挑戦して自分だけの表現を見つけてほしい」という想いが強くなり、色々な貝を紹介しています。
私も素材としての漆を研究することで、今までにない漆工芸の「かたち」を実現するという夢を持って、日々研究に励んでいます。
PROFILE
橘 洋一
研究室所属 ユニットリーダー/入所13年目
専門分野: 工芸・漆、高分子材料
研究 : 漆の新たな活用について
文化財修復における分析技術について 等
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