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京都独自の強みで盛り上げていく新たな未来の酒造り|京都酒造工業研究会

2025.03.28

京都酒造工業研究会が設立されたのは1950年。この時期は未だ戦後の混乱期であり、食糧不足で原料事情が悪い状況にもかかわらず、清酒は量的供給が求められ、京都の酒造業界では品質本位に立ち返り一致団結して技術研鑽に努めていました。このような中、本研究会は経営者、技術者、研究者の交流の場として70年以上にわたり、京都の日本酒づくりの技術向上に尽力してきました。会員相互の切磋琢磨、産技研の酵母の研究開発や分譲事業などへの協力のほか、新商品開発、販路開拓など、多岐にわたる事業にも積極的に取り組み、未来に向けて、京都の日本酒の強みと魅力を広く伝え、業界の発展に貢献しています。

(写真:酒造技術講演会)

研究会で得た見聞をいかし、各々の日本酒の個性を磨いていく

副委員長 秦 洋二 氏(月桂冠株式会社 専務取締役 製造本部長)
秦 洋二 氏

ーー 研究会の取組についてお聞かせください。

「酒屋万流(さかやばんりゅう)」という言葉がありまして、日本では蔵元ごとに独自の技術や考え方があることで、個性ある多種多様な日本酒が育まれてきました。
しかし、お酒がなくても宴会が成立する今の時代、私たちは新たな需要拡大を目指し、日本酒を飲むきっかけを生み出していく必要があります。そうしたことを蔵単独で取り組むには限界がありますので、蔵元同士はもちろん、産技研や地域の方々と団結し、チームとなって京都の日本酒を盛り上げていくことが重要です。
そこで京都酒造工業研究会では1950年の設立当初より、京都における酒造業界の旗振り役として、蔵元の垣根を越えた人材交流や技術向上に努めてきました。例えば、定期的に開催する講演会では、技術面に関する話だけでなく、マーケティングや社会のトレンドなど、今後の展開にいかせるような講演も開催しています。
そして講演会後に開催する懇親会は、人脈や視野を広げる情報交換の場になっています。幅広い世代のメンバーが集まって、より良いお酒づくりのために蔵元同士が活発に切磋琢磨し合える環境であり、私たちにとって非常に有意義です。

ーー 産技研との連携や今後の展望についてはいかがですか。

様々な酵母を研究している産技研は、各蔵元の個性や京都の酒造業界をしっかりと理解した上で、指導や困りごとの解決に力を貸してくれます。大切なことは、そうやって得た見聞を蔵元がどう酒づくりにいかし、各々の日本酒の個性を磨いていくかです。
これから先も時代は変化するはずなので、私たちは20年から30年先を見据えた展開を考える必要があります。おかげさまで京都には、豊富な地下水や、産技研がブランディングした京都酵母など、地域独自の強みがあります。
昨年に、日本の「伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産に登録されたこともあり、インバウンドにおける日本酒の需要はますます高まるでしょう。こうしたことを活用するのはもちろん、より一層京都の日本酒が発展するためには、京都独自の強みも必要となるはずです。その強みとなるものが産技研の研究から生み出されることを期待しています。そして京都酵母のように、産技研が開発したものを蔵元が活用して商品化していくことで、ともに京都の酒造業界を盛り上げていきたいです。

  • #技術向上
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