自社の「強み」をいかした研究開発
産技研と共に取り組むGo-Tech事業|株式会社ビークル
産技研は、競争的資金を積極的に活用し、社会実装を見据えた研究開発を進めています。Go-Tech事業(成長型中小企業等研究開発支援事業)は、高度な技術開発への挑戦、基盤技術を活用した高付加価値製品の製造、ものづくりとAI、IoTなどの先端技術を融合させた高度なサービス開発などを支援する経済産業省の補助事業です。最大3年間にわたり、中小企業が大学・公設試などの研究機関と連携して行う研究開発、試作品開発及び販路開拓への取組を支援します。ここでは、2023年度に採択された2件について、産技研との研究開発体制構築の経緯や研究の展望など、参画事業者の方々に伺いました。
代表取締役社長 郷 保正 氏
ワクチン開発・製造技術を駆使して感染症医療に貢献する
B型肝炎治療ワクチンで利用するC抗原の製造技術の開発
―― 産技研を利用することになったきっかけについてお聞かせください。
当社で製造しているタンパク質の配列確認を依頼したことがきっかけです。その後、抗体を検出するタンパク質粒子の改良版「MAD2(Multi Antibody Detection)」の開発時もお世話になりました。MAD2は多数の抗体を検出できるタンパク質が集まってできた粒子なのですが、実際につくったMAD2のアミノ酸配列が設計通りか確認する必要があります。その装置が産技研にあったのです。
―― 2018年から手がけられているワクチン開発についてお聞かせください。
ワクチン開発のハードルはGMP※製造にあります。それさえクリアできれば、他社の協力を得ながらワクチン製造を進められます。当社の責務としてはGMP製造を成功させ、医薬品原薬として使える品質の抗原をつくることなのです。そのような状況の中で、現在二つのプロジェクトが進行しています。一つは、従来のB型肝炎の予防ワクチンよりも効力の強いワクチンの開発で、来年度末に臨床試験を始める段階に進みたいと考えています。もう一つは、B型肝炎の治療ワクチンの開発です。治療ワクチンは、経鼻投与する製剤をつくるための基剤を強化するべく組成の改良を進めています。
ワクチン開発には多大な資金と時間を要します。共同体でなければ応募できない制度もあるため、産技研の機器、設備、技術を使って共同開発できる点は非常に助かっています。Go-Tech事業に関しても、産技研を活用しながら当社で積み重ねた研究成果をもとに書類を作成しました。また、書類の確認や助言もいただき、助かりました。
今後も開発を進めるために、産技研を活用したいと思っています。やはり最新の設備や装置が使えるかどうかは成果に大きな差を生みますので、技術に加え、設備の更新や導入に注力していただけると心強いです。
※ GMP:Good Manufacturing Practiceの略「医薬品の製造管理及び品質管理の基準」。
PROFILE
(令和4年度 知恵創出 “目の輝き” 認定企業)
研究員より
株式会社ビークルと産技研は、機器利用をきっかけにそれぞれの知見や経験を基に相互の関係を築き、連携体制を構築しています。近隣施設にはない装置を活用し、タンパク配列の確認などを通じて研究をサポートしています。計測分析を行う上で、サンプル調製は極めて重要です。そのアプローチの方法を検討するなど、課題解決に向けて協力していきたいです。今後も、より充実したサポートを提供できるよう、解決につなげる技術の幅を広げ、知識を深めていきたいと考えています。
(バイオ・食品・醸造分野 泊 直宏)
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