ヒト

職人紹介 伏見銘酒協同組合 製造部長 中田 勇一郎 氏
INTERVIEW
常に考え続け、全ての経験を活かす
私は社内でも下積みが長く、酒造りの季節に地方から来る蔵人の手伝いからスタートしました。酒造りには特有の用語も多く、方言もきつくて、何を指示されているのかもわかりませんでした。最初は酒米を触ることすらさせてもらえず、機械整備など様々な業務を経験しました。杜氏になるまで約20年かかりましたが、当時は雑用かと思った下積みの経験があるからこそ、多角的な視点を持って酒造りができるようになったと実感しています。
昔の酒造りは手取り足取り教えてもらうのではなく「見て盗め」というものでしたが、私は独自にデータを収集し、自分で考え、それでもわからない部分を質問していくうちに、蔵人たちが教えてくれるようになりました。
私は「造り手に笑顔がないと良い酒はできない」をモットーに、従業員同士の良好なコミュニケーションを重視しています。人間関係がギクシャクしていると酒質にもそれが表れてくると思います。体育会系の経験から学んだことですが、頭ごなしの指示ではチームが強くならない。若い従業員からの質問には、まず「君はどう思う?」と尋ねます。上司である私が意見を先に言ってしまうとそれが正解だと思ってしまいがちだからです。まず相手の意見を聞くことが、より良いものづくりにつながると考えています。若い人たちには、「自分で考える」ことを大切にしてほしいと思います。先輩や上司の話を鵜呑みにせず、まず自分なりの考えを持って、チャレンジする。考えることと経験を重ねてこそ、成長が得られると信じています。

PROFILE
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