地方独立行政法人 京都市産業技術研究所
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活用事例:化学薬品を一切用いない絹織物防縮加工技術の実用化

化学薬品を一切用いない絹織物防縮加工技術の実用化

株式会社広海(ひろうみ)/色染化学チーム

■事業概要
 絹織物は他の繊維とは異なり,防縮性を付与するために行う一般的な化学処理ではその効果が低く,簡便に高い防縮性を付与する方法がありませんでした。
 (株)広海(ひろうみ)は,京都市産技研が開発した化学薬品を一切用いずに絹織物に高い防縮性を付与する技術を実用化し,ブランド名"Shrink-proofTM(シュリンクプルーフ)"として実施しています。本加工によって和装品の着用時や保管時における吸湿・吸水等による縮みのトラブル削減に寄与しています。

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水に浸漬後乾燥したきもの(左:未加工きもの,右:防縮きもの)

■産業技術研究所との関わり
・「絹織物の高機能化を目的とした環境調和型防縮加工技術」の実用化に向けたORT研修の実施
・既存加工機の改良,最適加工条件の確立等の技術指導並びに実地指導
・加工品の不上がり(故障)の原因究明と対応策に関する技術指導

■成果物と今後の事業展開
・京都市産技研技術を技術移転により実用化し,"Shrink-proofTM"として実施
・自社保有技術である"しごき染"(数少ない手しごき染を実施)と複合させることで高付加価値化を図るとともに新たな商品の製造販売にも力を入れていく。
・他企業(異業種)とのコラボレーションを模索し,新規展開を図っていく。

 <株式会社広海 コメント>

株式会社広海
代表取締役
澁谷 實 氏
 和装業界において,この防縮加工技術は業界全体が待ち望んでいた非常に意義のある技術であり,実用化されたことにより和装用品の購入後の取扱いが家庭でも容易となり,和装の需要向上と業界の活性化につながるものと考えております。
 また,和装業界だけでなく,この磨き抜かれた伝統染法と現代の素晴らしい化学技術との融合により,人々の衣と住への快適な暮らしへの提案と新しい世界観のあるものづくりの取組も始めております。
 
※産技研NEWS「ちえのわ」No.16(2018.5)より抜粋。