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熱重量・示差熱測定装置

熱重量・示差熱測定装置

~材料の分解温度・耐熱性,転移温度を測定~

商品名:DTG-60 【(株)島津製作所】

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■物質の熱に対する変化
 物質は一般に加熱により固体→液体→気体の三態に変化することが知られています。この様態が変化する温度を転移温度と言います。転移温度では,物質から発熱や吸熱などの熱的な変化が生じます。これをモニターリングするのが示差熱測定であり,これにより物質の転移温度を知ることができます。例えば室温では溶けず,口溶けの良いチョコレートの開発では,きっと転移温度のコントロールがおいしさの鍵を握っているでしょう。また,多くの物質は加熱により重量が変化します。例えば航空機などに使われるカーボン繊維でさえも,酸素がある状態では,高温で加熱することにより燃焼し重量が減少していきます。そのような重量変化をモニターリングするのが熱重量測定であり,耐熱材料開発においては必須の測定です。このように物質の熱に対する変化を示差熱及び熱重量測定により知ることは,様々な研究開発において重要となっています。

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パルプと開発した高耐熱パルプの熱重量減少曲線
■機器の内容と用途
 本装置は,微量サンプル(数ミリグラム)を金属製の皿に入れ,それを熱量計のついた熱重量天秤に載せ昇温をすることにより示差熱及び熱重量測定を同時に行うことができます。これにより物質の転移,融解,凝固,結晶化,ガラス転移,吸着,脱着,脱水,分解,酸化・還元などの化学変化挙動を観測することができます。
 現在,高分子系チームでは,セルロースの高耐熱化の検討において,熱重量測定を中心に本装置を利用しています。図に製紙用パルプ(実線)と高分子系チームにて開発した高耐熱パルプ(破線)の熱重量減少曲線を示します。縦軸が重量変化率(%),横軸が温度(℃)です。例えばパルプを350℃まで昇温した際,未処理パルプでは約36%の重量減少が観測されますが,高耐熱パルプでは,約13%に重量減少が抑えられています。本測定によりセルロースの耐熱性が向上していることが確認できました。同様の測定を他の有機物に対しても行うことが可能であり,今後様々な研究開発に役立てていく予定です。

■機器の仕様
・温度範囲:室温~1100℃
・質量測定範囲:±500mg
・示差熱測定範囲:±1000μV
・重量読取限界:0.001mg

※産技研NEWS「ちえのわ」No.5(2015.9)より抜粋。