材上へ密着性良く金属薄膜を形成し、錆を防いだり、その意匠性や機能性を飛躍的に向上させることができる"めっき"及びめっきプロセスを応用した"電鋳(でんちゅう)"と呼ばれるめっき金属皮膜そのものを製品とする、主に電気めっきを中心とした表面処理技術に関する研究開発、技術移転・指導、試験・分析、人材育成及び研究会育成の業務を担当し、めっき業界等の技術支援を実施しています。
めっき技術は、省資源で機能性や意匠性を飛躍的に向上させる表面処理として機械金属、電気・電子部品、自動車、化学などの幅広い基幹産業を支える基盤技術であり、ものづくりの要素技術となっております。
めっきプロセスを応用した「電鋳技術」を得意技術としており、他の機械加工等の製造プロセスでは不可能な微細形状を正確に転写できる「銅電鋳技術」を仏壇・仏具用金具の量産技術に日本で初めて展開するなど、伝統産業分野のものづくりに活用されてきました。その後、ニッケル電鋳技術の研究開発を行い、その成果は、現在のCD等の金型や回折格子等に活用されています。また、近年「電鋳技術」は他の機械加工等の製造プロセスでは不可能な先端技術のものづくりプロセスに広く利用されつつあり、その重要性を増してきています。
現在の研究業務としては、低熱膨張電鋳プロセスの開発、電鋳技術による微細加工技術の開発及びエネルギー・環境分野対応の表面処理プロセスの開発などに取り組んでいます。
第22回関西表面技術フォーラムにて、紺野祥岐次席研究員が発表しました「鉄系合金めっき膜の陽極酸化による多孔質スピネルフェライト酸素電極触媒の作製」に関する研究発表が特に優れていると認められ、第22回関西表面技術フォーラム「優秀講演賞」を受賞しました。
関西表面技術フォーラムは表面処理技術分野の若手研究者・技術者等の発表の場、及び産学官の技術交流の場として約20年間に渡り継続的に開催されています。「優秀講演賞」は、本フォーラムにおける満40歳以下の優秀な発表者を対象に、毎年3名程度に授与される賞です。
<受賞発表>
「鉄系合金めっき膜の陽極酸化による多孔質スピネルフェライト酸素電極触媒の作製」
山本貴代主席研究員がこれまで実施した「熱膨張が小さいめっき」に関する研究成果が同協会において特に優れていると認められ、令和2年度 表面技術協会「進歩賞」を受賞しました。
この進歩賞は、同協会の約1700人の会員のうち、満35歳以下の若手を対象に、独創性に富み、将来の発展が期待される研究成果等(過去5年間)の業績を有する者に対し、毎年1~2名に与えられます。
<受賞内容>
「インバー型Fe-Ni合金膜の電気化学的創製およびその熱膨張挙動に関する研究」