地方独立行政法人 京都市産業技術研究所
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レーザー加工によるシリコン型を用いた「金属アクセサリー」製作

金属工芸におけるロウ原型製作プロセスの効率化を図る

 現在のロストワックス鋳造法によるジュエリー制作は15工程以上あり,時間とコストがネックとなっていた。そこで本取組みでは、 レーザー加工機(※1)を用いてシリコン型を作成することで、鋳造用ワックス原型量産までの工程とコストを削減する試みを行った。



こんな課題を解決します
●繊細なデザインの,板状の金属工芸品を作りたいこんな課題を解決します
●ロストワックス法の手戻りを減らして,コスト削減したい
●小ロットの複数案のデザインを簡単に試作したい


1.従来のロストワックス鋳造法のプロセスと,レーザー加工を取り入れたプロセス


従来:15工程以上有り,時間・コストがかかる為、小ロット・個別図案の製品が作りづらい。

 

レーザー加工機を活用し、金属原型を作ることなくデザイン図からシリコン型を直接製作することで時間・コストの大幅な効率化を実現

2.プロセスの詳細

1)手描き図案の写真やイラスト用ソフトウェア(※2)でデザインデータを作成
2)デザインデータからシリコン板をレーザー加工機で彫刻加工
・写真/イラストデータからすぐにシリコン型が出来る
・手作業では難しい細かい柄も再現出来る
3)加工した3枚のシリコン板(表/中/裏)を重ねてピンで止め、シリコン型とする
4)シリコン型に空気抜き加工を行った上でアクリル製ジグに固定し,鋳造用ワックスを注入する
・加工に失敗しても手戻りや精神的ダメージが少ない
 (低コストの予備を事前に準備できる)
5)空気が入り込まないよう注入の圧力やワックスの温度を調整し鋳造用ワックス原型を必要数作成する
・中板を差し替えて厚みの変更も可能
・表裏を差し替えて違うデザインも可能
6)ロストワックス手法で金属で鋳造
7)全体を磨いて完成

3.まとめ

アクセサリー製作におけるロストワックス手法の工程において、レーザー加工によるシリコン型を活用することで、時間・コストにおいて大幅な効率化が期待できます。


【メリット】
●新たなプロセスにより「金属原型作製~ゴム型作製」8工程を簡略化
  →大幅な時間およびコストの削減が可能
●イラストや写真からすぐにシリコン型を作ることが出来る
●非常に細かい造形(線幅0.2mm程度の凸形状)が出来る
●中板の厚みを差し替えることで製作物の厚み変更が出来る
●表板と裏板の差し替えでバリエーション作成が出来る
●安価に複製できるため、失敗に対する作業者の心理的負担が少なくなる


【デザイン条件】
●掘り込み深さが1.5mm以下
●平板状の製品に限られる(ペンダントトップ,ピンバッチなど)


協力企業の声

京都市産技研のレーザー加工機の活用で、スピーディーに複数案の試作を検討することができました。
手作りの良さと機器による精密な加工の良さを併せることで、新商品開発の可能性を広げるヒントを得られました。

    アトリエyou webサイト https://titan-atelieryou.com/

使用機器

※1:レーザー加工機
CO2レーザー加工機は,CO2レーザー光を用い,コンピューター制御によって対象物に微細な彫刻・切断加工を行うデジタル加工装置です。主にアクリルや木材,紙,革などの素材に対して,図形描画ソフトウェアで加工データを作成することで,複雑な形状の加工が可能です。
CO2レーザー加工機 Speedy300

※2:イラスト用ソフトウェア
Adobe IllustratorやPhotoshop、INKSCAPEなど。

お問い合わせ ※受付時間:午前8時30分~12時/午後1時~5時(土日祝12月29日~1月3日を除く)